・新月の夜
雨の湿り気を帯びた空気が肌にまとわりつき、季節の移ろいに体がまだ追いつかないような、少し重たい夜だ。どこかで蝉の声が鳴き止み、代わりに虫の音が静かに響き始めている。ふと、仕事の細かな手落ちを思い出して背筋が冷えるような、形のない不安が足元をかすめることもあるだろう。街のあちこちで、誰かの熱狂が伝わってくるような騒がしさを感じるけれど、まわりの人の余裕が少しだけ削られているような、そんな気配も混じる。それでも、今日を終えて灯りのやわらかい場所にいるのなら、それだけで十分だ。
明日の朝は、雨の予感に備えて身の回りを整える必要がありそうだ。昼過ぎには、答えが一つに固まっていくような、少し張り詰めた空気が漂うかもしれない。夜には画面の向こう側が賑わい、週末の始まりを告げるような気配が広がる。月はまた少しずつ形を変えていく。週の半ばに一度、ふっと息を抜ける時間がある。
今夜はスマホをそっと手放して、画面を見つめる代わりに、静かに横になって身体を休める。明日の朝は、まず最初にカーテンを開けて、外の光を部屋に取り入れる。そして、もしもの時のために、折り畳み傘を鞄の奥へ忍ばせる。
クロ・陽葵・優月が、この夜の手紙を読んでいます (全国・関西・関東の版があります)