・雨の夜
街を覆う雲が、湿り気を帯びた空気と一緒に街の息を包み込んでいる。季節がひとつ動こうとしているせいか、体の重みがどこか馴染めず、昨日よりも少しだけ鈍い。帰り道は静かに流れていたけれど、胸の奥にはまだ、はっきりとはしない遠いざわめきが残っている。まわりの人の余裕が、少しだけ削られているような気配も感じる。どこかの誰かが熱狂に身を任せる夜があるように、不確実な予感はいつも、まだ見ぬ先にあるものとしてそこに留まっている。
明日の朝は、波の音が静かに響くことから始まるだろう。昼には街にお金が回って、どこか気が緩むような賑わいが見えそうでもある。夜には画面の向こう側が賑やかになり、人々が熱を帯びていく。潮がこれから大きく動き出すことが、静かなアンカーとしてそこにある。週の半ばには、一度立ち止まって息継ぎをする時間が必要になるはずだ。
今夜はカートの中身を、そっと閉じておく。明日、朝の光の下で、本当に必要なものを選び直すために。鞄の底にスマホをしまい、少しだけ静かな時間を作る。朝には温かい飲み物を淹れて、心からゆっくりと身体を温めよう。予備の長靴を出しておこうか。
※天気の予報は気象庁の発表によります
クロ・陽葵・優月が、この夜の手紙を読んでいます
この夜の地域版 — 関西・関東